代表理事 高谷 潔  藤沢市小学校教員

新しいスポーツコミュニティーを目指します。


基本理念

 この組織は、湘南台・六会地区の「湘南台SC」と「FC六会藤沢」が1997年から3年間かけて2000年に完全合併し「FC六会湘南台」として活動を始めました。 藤沢の少年サッカーは30年ほど前にその当時若かった教員が中心になり、「放課後エネルギーを持て余している小学生の子供たち」のために、そのはけ口として活動を始めたのです。 その頃はチ−ム数も市内で数チ−ム、県内でも約30チ−ムという感じでした。 最初は先生たちがやり始めたものだったので、平日の放課後も優先してグランドを練習に使うことができました。やがて、文部省が小学校の学校体育から「野球」を外したこと、サッカ−のプロ化、等々さまざまな要因が重なって、現在では県内370、市内30チ−ムを数え、スポ−ツ少年団のなかでも登録数は群を抜いて多い種目となってきました。
30年経ち、子供達を受け入れる少年サッカーの状況は劇的に変化してきました。 当時、指導者の中心だった教員は寄る年波に勝てず? また、管理職に昇進など様々な理由により、地域主体のチームに形態を変えざる得ない状況に追い込まれました。 また、逆に台頭してきたのは「授業料」を取るスクール形のサッカーチームです。 お金だけ払い、親はノータッチ、当番もなく気が向いたときに試合会場に行き応援して勝手に帰るというものです。 そしてもうひとつはJリーグの下部組織です。10年ほど前までは、県大会優勝、県大会準優勝と華々しい成績を残していたのですが、近年ではなかなかそこまでの結果は出ていません。 市内では常にどの学年もトップ争いをしている「FC六会湘南台」ですが、選りすぐりのサッカーエリートが集まるチーム相手では県で優勝を狙うのは至難の業になっている事は事実です。 とは言え、勝利に対しての執着、技術の向上を諦めたわけではありません。 事実、卒団生の中学、高校での活躍を見るとサッカーの指導に関しては県内トップレベルにあると自信を持っています。 また常に指導に関する最新の情報を入手し、指導方法のレベルアップに努めています。 チャンスがあれば、また県で優勝したいと考えています。 これはこの組織に関わる指導者全員の思いだと思います。 並み居るライバルを撃破し優勝する事! 確かに、試合に勝つことはすばらしいことです。 また、子供たちも指導者も試合に勝つために練習をしているのです。 ただ、そのことに指導者や保護者の皆様が執着しすぎると、本来の目的から外れた方向へ進んでしまう危険も含んでいます。
もともと、地域の社会体育の大前提にある、「地域社会でコミュニティ−を造り出す」こと、これは少年サッカ−でも例外ではありません。 とくに最近では地域社会の崩壊が叫ばれています。 核家族化が進み、ご近所の人たちの顔さえ知らないというのは珍しいケ−スではありません。 子供たちも、学年・クラスが違えば近所に住んでいてもほとんど遊ばないのが現状です。 もともと、子供たちは、いろいろな「ひと」に触れ、さまざまな価値観を体験して大人になっていったものです。 先生、近所のおばさん、がんこじいさん、年下の子供たち、年上のお兄さんお姉さん、さまざまな「ひと」と付き合うことにより、幅広い価値観を身につけて大人になりました。 家庭・学校・地域がうまくそれぞれの教育機構を分担することによりうまく行っていたのです。 この地域の教育機能の一助としてFC六会湘南台は存在するのです。
この組織は「サッカ−の技術向上」「勝利への執着」のみを目的とする団体ではありません。 ホ−ムステイ、合宿等、学校生活や家庭生活では経験できないことを通して幅広い人間性を身に付けてほしいと願っています。
もうひとつ再認識して頂きたいことは、「ボランティア団体」であると言うことです。 コ−チも監督もボランティアで活動を行なっています。 それはなぜでしょうか。 もちろんこのFC六会湘南台の趣旨に賛同してくださってご協力をいただいている面も大きいでしょうが、なによりも「サッカ−が好き」なのです。 その人たちにとってつらいことは、「サッカ−の好きな子がサッカ−ができない」ことです。 私もそう思います。 子供がやりたいと思えば誰でも入れる組織でありたいと思います。
この組織の大きな特徴として平日の練習を見たり、土日の試合の面倒を見る監督・コーチの方たちだけがボランティアではないということです。 この組織に関わるすべての選手を含めた父母の皆様すべてがボランティアだと言う事です。 ボランティアとはいったい何なのでしょうか? 近年、千葉大の教授が「ボランティアとは他の価値観と出会う自己啓発活動である」と位置づけています。 ボランテティアと言うものはあくまで「自分の意志」で行なうもので「損得勘定」で行なうものではありません「自分がこれだけやっているのだから、他人もそのくらいやって当たり前」という論理はボランティア活動にはそぐわないものです。 できる範囲のことを、できるひとがやっていく、そういう組織であってほしいと思います。 よく子供の中にも、「おまえの〜が悪いから負けた」と他の選手に文句をいう選手がいます。その子には「おまえは文句を言う前にできることは全て行なったのか?」と詰問します。是非、お互いが感謝しあう関係であり続けたいものです。
いま企業型の猛烈人間から、地域社会との関係を持ち余暇を上手に使う人間への脱皮が計られています。 企業の方も、ボランティア休暇を設けたりして積極的です。全ての作業がOA化して来た今、文部省の方も「新しい能力観」ということで「生活科」や「総合的な学習活動」などを導入してきました。 マックレランドという心理学者は「新しい能力観」ということで一番に「仲間とつきあえる能力」をあげています。 おそらくこれからは、国語・算数などという能力よりも「生活科的能力」が重視される時代がやって来ます。 このFC六会湘南台でこの「仲間と付き合える能力」を身に付けてほしいと願っています。 日頃、お子さんたちと会話が少なくなっているお父さん。是非、試合のある日には子供の様子を見に来てください。 そして一緒にボールを蹴ってください。 そして会社を離れた近所のお友達を作ってほしいと思っています。
この理念を基に今年度「NPO法人化準備委員会」発足させました。 あらたに「シニアの部」「女子シニアの部」を発足し、小学生のみならず「サッカーが好きだけどやる場所がない」中学生、高校生、大学生、そして中年、初老のサッカーフリークのために組織の拡大を図っています。 確かに当番、役員等「人付き合い」は面倒なものです。 面倒がなくお金で解決する組織に父母・選手が流れていく状況はこれからますます加速していく事でしょう。 また、より性急に結果を求める方には物足りないかもしれません。 ただ逆に、「面倒な人付き合い」から得られるものは何物にも代えがたいと確信しています。
ご一緒にサッカーを通じてもう一度「湘南台・六会」を見直そうではありませんか!

なお、監督批判は厳に慎んでもらいたいと思います。 特にサッカ−の指導に関しては責任の全ては私にあります。 もし、サッカ−指導に関する不満がおありの場合は直接、総監督の私の所まで連絡してください。 よろしくお願いいたします。 また、組織の運営に関する疑問等は、理事会・総会等で発言なさってください。 一人一人のボランティアが知恵と自分の時間を出し合いながら育てていく組織です。 そして、学年ごとのチ−ムになっていますが、それは便宜上のことでFC六会湘南台というのは一つのチ−ムなのです。

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